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平成26年度町長施政方針_平成26年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

平成26年度町長施政方針_平成26年4月1日
(2014年4月1日更新)
 第1回双葉町議会定例会が開催されるにあたり、平成26年度の町政運営に対する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、広く町民の皆さまのご理解とご協力を賜わりたいと存じます。
 冒頭、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の発生から、本日で丸3年となります。改めて犠牲となられた皆さまのご冥福をお祈りしますとともに、今なお厳しい避難生活を強いられ、不自由な生活を送られている町民の皆さまに対し心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、私が町長に就任し、ちょうど1年が経過いたしました。これまでの間、双葉町の区域見直しや役場本体機能のいわき市への移転、双葉町復興まちづくり計画の策定、原子力損害賠償指針の見直しの取組み、学校再開に向けた準備作業など、様々な課題に対し町民の皆さまのご意見を伺いながら一つ一つ取り組んでまいりました。
 全町避難から3年が経過し、町民の皆さまの避難生活も長期化し困難を極めているうえに、国から双葉町への帰還の見通しと具体的な復興の姿が示されていない現状でありますが、平成26年度は、町民の皆さま一人一人の復興と町の復興を目指して、多くの困難な課題に誠心誠意取り組んでいく所存であります。
 特に本年は、復興公営住宅をはじめとする町外拠点の整備を、町民の目に見える形で具体化させていくとともに、双葉町の将来の帰還・復興への道筋をつけていきたいという強い思いから、今年を双葉町の本当の意味での「復興元年」にしていきたいとの決意を新たにしているところであります。
 今年2月5日に、双葉町復興まちづくり計画(第一次)に基づき、当面強化していくべき取組について、双葉町復興推進委員会から第1期提言をいただきました。これは、避難生活の長期化が予想される中、喫緊の課題に重点を置いて、町民のきずなの維持・発展、双葉町外拠点におけるコミュニティ形成、町民一人一人の生活再建について、提言をいただいたものであります。今回の提言を受けて、復興まちづくり計画推進会議において検討、協議を行い、3月5日に事業計画を策定したところであり、この事業計画に基づき、平成26年度に取り組む各種施策を当初予算に計上いたしましたので、ご理解を賜りたくお願い申し上げます。
 さらに、平成26年度は、双葉町への帰還と町の復興への道筋について、ふるさと双葉町に強い思いを有する方のご希望にお応えできるよう、本格的に議論していく考えであります。
 ここで、平成26年度に重点的に取り組むべき施策について申し上げます。
 第一に、町立幼稚園と小中学校の再開であります。大震災以降休園、休校となっておりました双葉町立の幼稚園、小中学校を、本年4月1日いわき市内において再開する運びとなりました。4月7日には開校式並びに入園・入学式を実施いたします。現在、いわき市錦町の旧錦星幼稚園跡地での園舎解体工事を進めており、本年7月末までの仮設校舎の完成を目指して工事を実施していく計画です。なお、仮設校舎完成までの間は、東邦銀行植田支店錦出張所を仮校舎として教育活動を展開していくことになります。少人数教育の特徴を活かし、ICT(情報通信技術)などを取り入れた魅力的で特色ある教育を実践していくことにより、将来の双葉町の復旧・復興を担う人材を育成していく考えです。
 第二に、復興公営住宅を中心とした双葉町外拠点の整備についてであります。避難生活の長期化が見込まれる中で、町民の皆さまが、避難先において生活再建の見通しをつけていただくことが喫緊に取り組むべき課題となっており、町外拠点整備の実現に向けて精力的に取り組んでまいります。昨年10月に実施した住民意向調査の結果を踏まえ、双葉町民が集まって居住できる県営の復興公営住宅の整備を、いわき市、郡山市、南相馬市、白河市に求めており、本年は、福島県における復興公営住宅の建設用地の取得が本格化していきます。そのため、町として、県に対して整備の加速化を求めるとともに、とりわけ、町民の希望が多いいわき市については、勿来地区を双葉町外拠点の中心とすべく、県などとの協議を加速させてまいります。具体的には、多様な形態の住宅整備を要望していくとともに、高齢者福祉、医療、商業などの施設のほか、宿泊機能も備えた全国の町民が集まれる集会施設の整備、町民全体を対象とした、ダルマ市などのイベント開催が可能となる広場、ふれあい農園なども整備し、広く双葉町民のコミュニティの拠点となるような機能を持たせていきたいと考えています。
 第三に、町民のきずなの維持・発展についてであります。全国各地に避難している町民の皆さまのきずなをどのようにつなぎとめていくかは、町の存続にも関わる重要な問題であります。本年は、復興公営住宅に住まない方も含めたきずなの維持・発展のための施策、具体的には、町民からの要望が多い、交流拠点の確保や大字総会への参加費の一部助成、タブレット端末等によるICT(情報通信技術)きずな支援システムを導入いたします。特に情報提供については、町からの一方的な発信だけでなく、町や町民同士が双方向でのコミュニケーションがとれるよう情報発信の充実を図ってまいります。
 第四に、原子力損害賠償についてであります。これまで、原子力損害賠償紛争審査会と国や東京電力に対して、町民が新たな住居を確保できるように賠償基準の見直しを強く要求してまいりました。その結果、原子力損害賠償紛争審査会の第四次追補においては、避難先での住宅・宅地の取得に関して一定の賠償の上積みがされ、また、双葉町における精神的損害の追加賠償についても全町一律の指針が示されました。賠償については、引き続き山林等の賠償の早期実施を強く求めていくほか、賠償基準のさらなる見直しと、町民の生活再建が可能となるよう賠償手続きの早期実施を、国・東京電力に対して継続して強く要求してまいります。
 第五に、町の復興のための除染と津波被災地の復興についてであります。 まず、除染については、国に対してモデル除染の継続と、双葉町の避難指示解除準備区域内での除染計画の早期策定を強く求めていきます。また、帰還困難区域内の除染のあり方については、新たなまちづくりを行っていくという視点からの検討も必要であると考えており、町民の皆さまのご意見を伺いながら今後議論をしていきたいと考えています。また、津波被災地の復興については、避難指示解除準備区域にメガソーラーを誘致し、再生可能エネルギーの一大拠点としての位置付けを担えるようにすることも選択肢の一つとして、地域の皆さまの合意形成を図りながら取り組んでまいります。
 次に、中間貯蔵施設について申し上げます。双葉町における現地調査結果を受け、12月14日に福島市で石原環境大臣と根本復興大臣から、佐藤福島県知事及び双葉町、大熊町などの関係町長に対し、中間貯蔵施設建設受入れの要請を受けました。その後、2月4日に福島県知事から、建設候補地のうち楢葉町を外し、大熊町、双葉町の2町に集約する再配置案が示され、2月7日の双葉地方8町村長の会議において大筋で了承されたところであります。その際、私からは、施設の集約と建設の受入れ判断については別であることについて、改めて福島県知事に申し上げたところであります。その後、2月12日には、福島県知事が両大臣に対し、再配置案及び生活再建支援策や地域振興策の検討を申し入れたところであります。12月14日の要請の後、これまで国からは施設に関する具体的な説明はありません。施設受入れの是非を判断するにあたっては、中間貯蔵後の県外最終処分の法制化や、施設の安全性、さらには、特別な施設であることを踏まえ、地権者だけでなく町民すべての生活再建支援策や、地域振興策等を早期かつ具体的に提示することなどを国に強く求めているところです。私としても2月15日以降、仮設住宅等にお住まいの方にできる限りお会いして、「町民の生活再建」「双葉町の復興の道筋」「中間貯蔵施設」等について、直接ご意見をお聞きしているところであり、今後の施策や施設受入れの是非の判断に生かしてまいりたいと考えています。今後は、国の対応方針を慎重に見極めながら、国による住民説明会を開催させ、町民の皆さまのご意見等を伺うとともに、議会との協議や福島県と大熊町との連携も図りながら、施設受入れの是非について慎重に判断していく所存であります。
 双葉町の復興のゴールは、ふるさと双葉町への帰還と町の再興にあると考えております。しかし、福島第一原子力発電所での汚染水漏れやヒューマンエラーとも言えるトラブルが相次いで発生していることは、双葉町の復興の妨げになるものであります。国と東京電力に対しては、改めて廃炉措置の安全かつ確実な実施を強く要求するものであります。
 今後の町政運営にあたりましては、議会並びに町民の皆さまとの対話を重視し、双葉町の復旧・復興のために邁進していきたいと考えておりますので、引き続きご協力とご支援をお願いいたします。
 以上、申し述べて平成26年度における施策の方針といたします。
 (平成26年度町長施政方針から抜粋)
双葉町長 伊澤 史朗