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学校教育の充実を目指して(その07)_教育長メッセージ(2014年9月29日)

学校教育の充実を目指して(その07)_教育長メッセージ(2014年9月29日)
(2014年9月29日更新)
 8月24日(日)、仮設校舎の落成式が新築の体育館で行われました。根本復興大臣始め内堀副知事、杉県教育長等多くの来賓の皆様が出席されました。式は伊澤町長の式辞に始まり、岡村教育委員長の挨拶が続き、その後根本大臣以下6名の来賓より祝辞を頂き、最後に「標葉せんだん太鼓」の演奏で締めくくりました。新校舎で、一層充実した教育を進めたいと思います。

 ▲仮設校舎、体育館

 ▲小中学校校舎(奥)と幼稚園舎(手前)

 ▲式辞を述べる伊澤町長

 ▲祝辞を述べる根本復興大臣

 学力テストについて(学校教育で目指す、子ども達の「学力」とは!)

 本年4月に全国の小中学生を対象に実施された、「全国学力・学習状況調査」の結果が届きました。本町では、2名の小学6年生と1名の中学3年生がテストに臨みました。結果は、全体として多くの教科で全国平均を上回りました。正確な数値による学校毎の公表はしません。受検者数が少なく、個人の成績の公表になってしまいます。このことは定例教育委員会の中でも了承されています。細かな分析については、今各学校で進めており、陥没点を中心に指導の改善を図っていきたいと思います。
 全国学力テストの結果については、毎年新聞等で各都道府県毎の平均正答率が報道され、その結果に全国の教育委員会が一喜一憂する光景が見られます。そして、全国平均を下回った教科の強化策が教育現場に直ちに示されます。中には、学校毎の平均の公表に踏み切る自治体もあれば、平均を上回った学校の校長名をも公表する自治体も出てきています。大きな論議になってきていることは間違いありません。
 ここで、学力テストの意義、趣旨等について少し考えてみたいと思います。テストのねらいは、子ども達の基礎学力の向上にあることは言うまでもありません。また、全国平均と比べて自分の基礎学力がどの程度のレベルにあるか、判断することも可能です。先生方の授業の改善に役立てるための材料にもなります。問題の内容は基礎力と活用力(応用力)を問う2種類です。子ども達にとって、どちらも身につけなければならない重要な能力です。活用力(応用力)については、近年、日本の子ども達が他国の子ども達より劣っているとの指摘があり(OECD加盟国、非加盟国等65か国程度が参加しているPISAテスト「国際学習到達度調査」2012では、数学、科学、読解力を問う問題で世界上位にランクされ、前回より向上した)、この結果により、文部科学省が特に活用力の育成を課題として毎年学力テストを実施しその成果に期待する、というのもうなずけるように思います。学力テストの問題自体はよく考えられた内容で、適切だと思われます。また、学習状況調査(学習に関するアンケート)も子ども達の学習に関する興味、家庭学習に関する内容等で、学習全般にわたって子ども達自身が振り返ることができ、また先生方も調査結果を指導に活かすことができる、という利点もあります。(PISAテストでも同様のものを実施しており、日本の子ども達の数学に対する興味が他国に比べやや低いことが明らかになった)
 「全国学力・学習状況調査」は、以上のように様々なねらいがあり、意義も認められます。国際競争社会において、子ども達の学力の向上は、教育環境の改善と共に重要な課題であろうと思います。しかしながら、学力テストに対する今日のマスコミや教育現場の過度の反応は学校教育のねらいは一体どこにあるのか、という根源的な問いかけに向かわざるを得ません。学校教育では、「知識や技能を身につけそれを活用する力(表現力、思考力、判断力)」の育成は勿論ですが、情操教育や豊かな体験活動、ボランティア活動そして係活動等で道徳心、協調性、責任感、リーダーシップそして生きる力を育てていかなくてはいけません。学力テストで測られるものは、「読み・書き・計算」等の基礎学力そしてそれを土台とした活用力の一部です。子ども達の豊かな心、生きる力、責任感等までは当然ながら評価できません。学力テストの結果をあまりにも重視すぎるあまり、学校教育の大切な部分に目を向けることができなくなってしまってはいけないと思います。その意味で、やはり学力テストの結果についての加熱した報道そしてテストの結果を先生方と子ども達に過度に意識させることは、学校教育の真のねらいが十分達成できないのではいか、と危惧します。
 日本の子ども達の活用力を高めるためには、普段の授業において先生と子ども達が、「一つの課題にじっくりと時間をかけ探究的に学び、議論し、考えをまとめ発表する」という創造的な作業を展開する必要がある、ということが昨今よく言われます。そのことを教育現場に保障することを重要だと考えるならば、学力テストの議論も違った方向に進むのではないでしょうか。

 双葉町教育長 半谷 淳