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学校教育の充実を目指して(その09)_教育長メッセージ(2014年11月21日)

学校教育の充実を目指して(その09)_教育長メッセージ(2014年11月21日)
(2014年11月21日更新)
 11月5日、錦町の新校舎で、いわき市で2番目の子供たちへの放課後学習支援、「放課後ふたばっ子教室」がスタートしました。小学生2名でのスタートですが、自ら学ぼうとする意欲は素晴らしいと思います。昨年スタートしたいわき市南台の学習会へも、参加者が1名増えて、現在16名になりました。こちらの方も皆熱心に取り組んでいます。
 11月11日には、町立学校への入学者が新たに1名加わりました。小学1年生1名が加わり、現在、幼小中学校合わせて16名になりました。4月からは5名増えました。次年度からは、幼稚園で3歳児も受け入れます。入学の相談は随時受け付けています。教育総務課まで。

 ▲いわき市南台「放課後ふたばっ子学習会」の様子

 ふたばワールドで「ふるさと創造学」の取組みを発表!(町の復興、教育の復興を目指して!)

 今年度4月より、双葉郡内各小中学校で取り組んでいる「ふるさと創造学」の取組みの成果が、9月に川内村で行われた「ふたばワールド」で中間発表という形で実施された。この取組みの意味について、何故今「ふるさと創造学」なのか、様々な角度から再び考えてみたい。

1 双葉郡内各校をめぐる状況
  • 郡内各校は、2011年の東日本大震災後それぞれの避難先で開校するも、子供たちの多くが全国各地に避難し、児童・生徒数の大幅な減少に直面し、また、プレハブ校舎での授業、スクールバスでの送迎等困難な状況下で教育活動が展開されている。
  • 広野町では、2012年(H24)8月に町内の自校に帰還し、子供たちが少しずつ戻りつつあり、楢葉町では、2015年(H27)4月に帰町を目指しているものの、教育を取り巻く状況は依然として厳しいと言わざるを得ない。
2 各町村の復興と学校教育
  • 各町村では、復興を目指して日々様々な課題に取り組んでいる。町村の復興には、学校教育の復興も大きな位置を占めていることは明白である。各町村長、教育長は各自治体の住民の帰還、子供たちの帰還を復興への大きな課題として捉えているし、各町村で作成している「復興計画」、郡内教育長会が中心となり作成した「双葉郡教育復興ビジョン」等は復興への道筋を企図した重要なプランである。
  • 町の復興、教育の復興のプランの多くは長期的な取組みが要求されるものばかりである。住民の帰還、子供たちの帰還が着実に進む状況ではない中で、それでも長期的な展望に立ち、各町村の復興を目指すことの重要性、各町村の復興を担う人材、歴史・文化・伝統を継承する人材を育成することの重要性を自覚し、責任を持ち子供たちの教育に携わることが我々教育関係者、教師に求められている。
3 「ふるさと創造学」で目指すもの
  • 「双葉郡教育復興ビジョン」は2013年(H25)7月にまとめられた。郡内教育長会が中心となり、文部科学省、県教育委員会、復興庁、福島大学からのメンバーが「双葉郡教育復興に関する協議会」に参加し、半年間に亘り、双葉郡の教育の復興をテーマに長時間の議論を深め出来上がったものである。「震災・原発事故からの教訓を生かした、双葉郡ならではの魅力的な教育の推進」、「双葉郡の復興や持続可能な地域づくりに貢献できる『強さ』を持った人材の育成」等5つの方針の他、中高一貫校の設置、幼小中学校間の連携、学校と地域コミュニティの連携、大学・企業等との連携等の内容を盛り込んでいる。
  • そのビジョンの内容を実現するものとして、今年度から取り組んでいるのが、「ふるさと創造学」であり、「中高一貫校の創設」である。来年4月に広野町に開校する「ふたば未来学園高校」の教育内容には、協議会の要望、意見が多く反映されている。
4 「ふるさと創造学」で期待できること
  • 郡内各学校が抱える大きな問題として「子供の数の減少」がある。郡内の教育長会が協議会を立ち上げ、「双葉郡教育復興ビジョン」をまとめ、教育復興の様々な方策を模索した大きな理由も、「郡内各校の子供の数の減少に歯止めをかけるため」である。「ふるさと創造学」で郡内各校での共通の取組みを内外に発信し、「中高一貫校の創設」で子供たちの帰還を促し、「地域との一体化を目指す新しい教育の創造」により現状を打破し、復興への明るい展望を持ちたい、という願いが込められている。そして「復興を担う、強さを持った人材育成」が大きな目標である。
  • 「果たして、これらの取組みで現状を打破できるであろうか?確実に教育の復興は達成できるであろうか?」、学校現場からこのような疑問が時折聞こえる。必ず打破できる、必ず子供は帰還するという確証はないが、しかし可能性はある、というのが実情であろう。可能性を信じて、新しい試みにひたすら取組み、地域を活性化し、地域と共に歩むことが復興へのキーワードになることは、他の被災地、過去の震災地での経験から、明らかである。根気強く、組織が一体となり、国や県、他の組織の支援を活用しながら様々な試みに踏み出すべきである。時間がかかり、すぐに結果が目に見えず、実にもどかしい取組みである。しかし他に復興への効果的な方策が見い出せないならば、現状での可能性にかけるべきなのではないか。
5 浪江町の取組み
  • 浪江町の取組みである「なみえ焼きそば」は食のグルメのイベント「B-1グランプリ」で最優秀賞を受賞し、全国的に名前が広まっている。浪江町民は心から応援し、活躍に喜び拍手を送る、浪江町を盛り上げていることは誰もが認めることであり、復興の一つの形として大きな役割を果たしている。他町村も大いに注視し、後に続けと意欲を燃やしている。
  • 浪江町の小中学校の子供たちは、「総合的な学習の時間」の中で「ふるさとなみえ科」を位置づけ、「浪江やきそば」は勿論のこと「大堀相馬焼」や「伝統芸能」の体験、探究、発表等の活動を通じて「子ども達の創造的な学び」を追求している。さらには、避難先の自治体の二本松市の子供たちと協働で、「二本松市における未来の浪江町の姿」をシュミレーションし、模型を創作する、という大きなテーマに挑み、9月の「ふたばワールド」でその模型を披露してくれた。避難している自治体での「ふるさとの姿を考える」活動として評価されよう。
6 悲観論を超える発想こそ
  • 住民の帰還、子供たちの帰還が進まない要因として、住宅の確保、雇用の創出、原発の汚染水問題の解決、風評被害対策等、行政主導でしか解決できない問題がある。あまりにも問題が多すぎ、大きすぎ、「やっても無駄」という諦め感が生まれるのはやむを得ないことではある。
  • 困難な状況下で兎角議論されるのは、「どうせ何をやってもすぐには状況は変わらない」、「今の取組みが果たしてどんな効果が期待できるのか」といった悲観的な考えであり、更には、「今でも大変なのだから、新しい取組みは一層先生方、子供たちへ負担がかかる」そして「トップダウンの方策ではやらされ感が強い」という批判である。一方、「困難な状況だからこそ、何かをしなくてはいけない」、「何もしないで悲観してばかりではいられない」という反論がある。
  • 浪江町の取組み、浪江町の小中学校での取組み、そして9月の「ふたばワールド」での各学校の取組みは、正に今の困難な状況下での教育の在り方、双葉郡の未来を展望した試みとして多くの示唆を与えてくれたように思う。「小泉応援団による模擬授業」も従来の授業の枠を超えた授業の在り方を提示してくれたし、これまで9回も実施した「子供未来会議」も子供たち、教師の議論の場としての新たな可能性を見い出せはしまいか。 
7 議論は有用である
  • 今年度取り組んだ「ふるさと創造学」の内容として、「各校の担当者会議」(5月)、川内村での「ふたばワールドでの中間発表」(9月)があり、今後は12月の「ふるさと創造学サミット(本発表)」、「教職員研修」、来年1月には「教職員による子供未来会議」が予定されている。
  • 今年度の取組みに関しては、様々な意見が寄せられている。ましてや初めての取組みである。異なる意見や考えが出てくるのは当然である。議論の無いところに発展も進歩もあり得ない。「中高一貫校の創設」も「双葉郡教育復興ビジョン」の内容の実現も議論を続けながら今進んでいる。そして、議論の中からこそ新しいアイデアが生まれ、議論により参加者の視野が広まり、議論そのものが新しい経験となるのである。すぐに成果は見えなくても議論を続けるべきであり、取組みの中身を変えることはあっても復興への歩み、試みを止め、歯車を逆にもどすことは避けなくてはいけない。是非とも多くの意見を、そして議論を。最後に、癌で余命数ヶ月を宣告されたアメリカのカーネギーメロン大学のランディ・パウシュ教授が最後の力を注いで実現させた「最後の授業」の中の言葉を付け加える。「目の前に現れた大きな壁は、その人の本気度を試すためのものである。」、「傷ついたライオンはそれでも吠えようとする。」

 双葉町教育長 半谷 淳