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学校教育の充実を目指して(その19)_教育長メッセージ(2015年10月1日)

学校教育の充実を目指して(その19)_教育長メッセージ(2015年10月1日)
(2015年10月1日更新)
 町立学校への入学者も徐々に増えつつあり、今年4月より5名増え、現在幼小中21名の子ども達が元気に登校しています。年度途中での入学はもちろんのこと、来年4月からの入学も受けつけています。また、学校の見学も歓迎します。希望があれば是非ご連絡下さい。
 7月の中学校での授業公開に続いて、10月7日(水)には小学校全学年での授業公開を実施します。少人数指導やIT機器を活用した授業を是非見て頂きたいと思います。お子様の町立学校への入学、教育の相談については、是非教育総務課へ。不登校傾向や発達障害等、様々な問題に全力で対処していきます。 
 ※担当、阿部指導主事 TEL:0246-84-5210

 「ふるさと」について考える


  「ふるさと」を学校でどう教えるか
 震災後、双葉郡内の各小中学校は、各町村が郡外に避難したためにそれぞれの避難先で学校を再開しました。再開後、各学校の教師達は子ども達に「ふるさと」についてどのように教えるべきか、大変頭を悩ませているとの話をよく耳にします。震災時幼児だった子ども達が小学校に入学し、彼らのほとんどが自分達の「ふるさと」を覚えていない。そのような子ども達の「ふるさと」の写真や資料を見せたとしても、「ふるさと」の実感が持てないのではないか。また、避難先での見慣れた景色や生活、文化との関係をどう理解させるか、等の疑問に日々葛藤しながら授業を進めているように思います。

 二つの「ふるさと」
 たとえ子ども達が生まれ育った「ふるさと」を覚えていなくとも、たとえ避難先での景色や生活、文化に慣れたとしても、自分達の「ふるさと」がどのようなものかを教えることは大切であろうと思います。そして今いる避難先で慣れ親しんだ文化、歴史等について学ぶことも大切なのではないかと考えます。つまり新しい「ふるさと」の考え方です。避難先でできた多くの友人と、学校の先生方、地域の人々との日々の交流を通じて、避難した町や村を新しい「ふるさと」として実感している子ども達も多くいるのではないか、と思われます。避難直後はなかなかなじめなかった、生活や友人そして避難先の町や村も、今では子ども達の心の中に新しい「ふるさと」として確かな場所を占めているに違いなく、それぞれの学校で教わる新しい「ふるさと」についての学習も新鮮な気持ちで受け止めているに違いありません。加須市騎西小学校での運動会では、騎西音頭と双葉音頭を共に子ども達に披露させ、更には鼓笛パレードにおいて、双葉北・南両小学校の校歌を演奏させています。正に、二つの「ふるさと」の発想に基づく、すばらしい実践だと思います。

 「ふるさと」への想いを生きる力に
 「ふるさとへはいつ帰られるだろうか」、「ふるさとへはもう戻れないのではないか」と言った想いにもどかしさを感じ、あるいは悲観している人もいるのではないかと思います。一方で、「ふるさとへの想いに悲観し嘆くより、前向きに生きよう」と考えている人もいると思います。どちらの想いもいわば心の持ち方、考え方の違いによるものなので、一概に肯定、否定するのではありませんが、「新しいふるさと」、「二つのふるさと」の発想を持つことは、自らの生き方を新しい視点で見つめることに通じ、結果としてそれぞれの生きる力へと繋がる可能性があると考えますが、いかがでしょうか。

 ふるさと創造学、地域の活性化
 別の考え方として、「ふるさとの復興を目指し、新しいふるさとの在り方を考えよう、コミュニティを再生しよう」とする動きが被災地では勿論、全国的に各自治体で模索されています。しかも、どの自治体でも共通していることは、「子ども達の考え方を地域の活性化に採り入れよう」「子ども達と共に地域を活性化しよう」とする考え方です。双葉郡の各小中学校で昨年から始めた「ふるさと創造学」は、様々な取り組みにより地域住民と共に大きな盛り上がりを見せました。今年度は「ふたば未来学園高校」が立ち上がり、小中高の連携により「ふるさと創造学」をさらに充実、発展させようと各学校、各町村で取り組んでいます。

 ふるさとの再生への取り組み
 「被災地の復興は困難であり他の自治体とは違う、子ども達の帰還は簡単ではない」という声も時折聞かれます。では、今行われている組織的、創造的、挑戦的なこれらの取り組みは果たして無駄なのかと言うと、「決してそうでなない」、と大抵の人は言うに違いありません。続いて、「でもいつになったら子どもの数は増えるのか、どうすれば復興は進むのか」という疑問の声が聞こえます。困難な道のりを覚悟し、様々な方策を多くの関係者が知恵を出し合い協議、実践、修正することのサイクルの繰り返しの中で、少しずつ先が見えるような気がします。大切なことは、今の考え方に自信を持ち学校の再生、ふるさとの再生に携わる者一人一人が状況を変えようとする主体者としての自覚を持ち、根気強く実践することだと思います。

 
 双葉町教育長 半谷 淳