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学校教育の充実を目指して(その25)_教育長メッセージ(2016年4月1日)

学校教育の充実を目指して(その25)_教育長メッセージ(2016年4月1日)
(2016年4月1日更新)
 昨年12月、双葉中学校2年生5名が制作した「双葉町カレンダー」の制作過程がNHKで取り上げられました。出来栄えが素晴らしく、多くの町民そして町外の方々からも要望があり、町として急遽200部を印刷し現在まで170部販売しました。町内のバラ園や双葉中学校等の主な場所が丁寧に描かれ、町に関するクイズ等も興味を引き、大きな話題となりました。中学校教育の成果としても評価されるものです。
 新年度の町立学校への入学予定者は30(幼稚園5、小学校16、中学校9)名です。更に増える可能性もあります。詳細は、町のホームページをご覧下さい。不登校傾向や発達障害等、様々な問題に全力で対処していきます。見学も随時受け付けます。気軽にご相談下さい。

 発達障がいとS君について


 発達障がい
 最近、学校でよく話題になるのが、「発達障がい」を抱える子どもたちの扱い方です。そもそも、発達障がいとは先天性の脳機能障がいが原因で乳幼児に生ずる発達の遅れで、障がいが発達の過程で現れてくること、生涯にわたるものであることと言われています。障がいの内容としては、主に、広汎性発達障がい(自閉症、アスペルガー症候群等)、学習障がい(LD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)等に分類されます。これらの障がいは決して病気ではなく、生まれつきの特性である、という理解がとても大切です。そして、障がいについて周囲の理解があれば、特に支障なく普通の生活が送れるということが実証されています。

 発達障がいを抱える多くの著名人
 著名人の中にも、発達障がいを持つ人が多数知られています。物理学者のアインシュタイン、映画監督のスピルバーグ、作曲家のベートーベンや画家のレオナルド・ダ・ヴィンチ等が挙げられ、最近ではマイクロソフトのビルゲイツ、スポーツ選手のイチロー等もアスペルガー症候群を持つ人達として有名です。特徴として、「人とコミュニケーションをとることが苦手である」、「行動がパターン化しており、こだわりが強い」、「知的な障がいはなく、記憶力や思考力が極めて優れる者もいる(サバン症候群)」、この中で知的な発達の遅れが見られる者は自閉症に該当するとされています。こうした障がい(特性)を持つ子どもたちが増えている、ということがよく言われます。理由は分かりませんが、実は以前も多く見られており、ただ十分に理解(研究)されていなかっただけだとも言われています。ちなみに、映画「レインマン」もサバン症候群の物語です。

 十分な対応策   
 長い間の教職経験を振り返ると、こうした障がいを持つ生徒を多数見てきました。以前こうした情報がない時代には、子どもの理解が進まずどのように接していいか頭を悩ませました。しかし、最近は多くの情報や研修によりこうした障がいに対する理解が進み、落ち着いて対処ができ、時には医師やカウンセラー等専門家との協力も得られ、組織的に関わることが可能になってきました。映画「レインマン」や自閉症で悩んだ者の伝記、「自閉症だった私へ」(ドナ・ウイリアムズ)に触れれば、より自閉症への理解が進むでしょう。

 S君のこと    
 自閉症について言えば、S君のことを話さずにはいられません。S君は生後まもなく自閉症の疑いが持たれ、その後数人の医師の診断を受け、正式に自閉症との診断を受けた子どもです。両親はかなり悲観し、中学校3年間で登校できたのは入学式と卒業式の2回のみです。S君の母親と面談したのはS君が中2の時で、「S君がとりあえず外出できることを第一に考え、あせらないで下さい」と伝え、S君の好きな写真や動物、そして落語の話等を聞き、自分の撮った写真や落語のDVD等を見せました。S君から早速返事があり、S君の撮った実に素晴らしい鉄道写真を見せられ驚くとともに、「興味・関心を少しずつ広げていってください」と母親に言葉をかけると間もなく、S君はメダカを飼育し、ハーブを栽培し、落語を覚え、鉄道写真も雑誌のコンテストに応募し入賞してしまったのです。メダカは28匹すべて個体が識別でき、落語は50本も暗記してしまいました。サバン症候群ではないかと思っています。震災後はNHK放送学園高校に進み、成績優
秀で表彰を受け、そして昨年春、放送大学に入学し植物学と宇宙物理学を学びたい、との手紙が届きました。この間、時折文通し互いに写真を見せ合い感想を述べ、生活や生き方についても語り合う関係になりました。また、放射線被曝に悩み2回も引っ越しを経験しながら、写真コンテストでの入賞の報告が届けられました。

 教育の可能性    
 S君との関わりの中で考えたことは、教育の可能性です。中学校3年間殆ど登校できずに自宅にこもっていたS君が周囲の理解と協力、保護者の努力により逞しく成長しました。自分もS君と関わることで、多くのことが分かり、S君に教えられることも多々ありました。子どもたちは様々です。町立学校に目を向けると、子どもたちは震災の影響で様々な問題を抱え、そして中には障がいを持つ子どもたちもいるのです。前の学校でなかなか周囲の理解が思うように得られず、町立学校に入学した子どももいます。幸いにも先生方の熱意と組織的な指導によりどの子どもも笑顔を取り戻し、学習やスポーツ等充実した学校生活を送っています。S君のように素晴らしい能力が開花できるよう、一人一人に目を向け、大切に育てていきたいと考えています。

双葉町教育長 半谷 淳