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平成29年度町長施政方針_平成29年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

平成29年度町長施政方針_平成29年4月1日
(2017年4月1日更新)
 一期目の4年間を振り返りますと、先ず、町内の旧警戒区域から帰還困難区域、避難指示解除準備区域への再編、さらに、役場本体機能を埼玉県加須市から福島県いわき市への移転、双葉町立幼稚園、小中学校の再開をいたしました。手つかずであった除染については、公共施設等のモデル除染や拠点除染、そして避難指示解除準備区域の本格除染が実施され、引き続き帰還困難区域において駅西地区約40ヘクタールを復興拠点の一部とする先行的な除染が実施されております。一歩ずつではありますが、着実に復旧、復興に向けて歩んでまいりました。
 さらに、町と町民並びに町民同士のきずなの維持、発展を図るためのコミュニティ情報紙「ふたばのわ」の発行、タブレット端末の各世帯への配付、敬老会の再開や3月末に発行する震災記録誌の編集など、結びつきを維持、発展するための諸施策を講じてまいりました。

 二期目は、昨年12月に策定した「双葉町復興まちづくり計画(第二次)」に基づき、「町民一人一人の復興」と「町の復興」を基本理念とし、「町の再興」「生活再建」「町民のきずな・結びつき」を基本目標として、町の再興に係る取り組みを加速させ、真の復興、帰還への環境整備を段階的に進めてまいりたいと考えております。
 先ずは、中野地区復興産業拠点を「新たな産業・雇用の場」と「発信の場」として町の都市計画に都市施設として位置づけ、町への人の流れを創出したいと考えており、町の復興の足がかりとなる産業の再興に資する企業誘致や廃炉関係の研究施設、人材育成の研修施設の立地をめざした「復興産業拠点」として整備を進めてまいります。現在は、「一団地の復興再生拠点市街地形成施設」としての都市計画決定に向け、住民及び利害関係者を対象とした説明会、都市計画案の縦覧を経て、昨日、町都市計画審議会の決定を受けたところであります。今後、復興整備協議会の審議を経て決定され、都市計画事業としての認可を経て、事業に着手することになります。1日も早い町の復興に向け、その先駆けとなる中野地区復興産業拠点の早期整備に、町として全力で取り組んでまいります。
 
 そして、復興の基本は除染でありますが、昨年8月に政府から示された「帰還困難区域の取り扱いに関する考え方(政府方針)」を受け、双葉町としても帰還困難区域内の面的除染をはじめとする新たな枠組みによる事業に早期に着手するため、特定復興拠点制度の早期具体化と、町の意向を最大限尊重した特定復興拠点整備計画の認定を国に強く要望したところであります。
 双葉町にとって、中間貯蔵施設の受け入れは熟慮を重ねた末の苦渋の判断であり、受け入れた町の復興が置き去りにされるとことはあり得ません。国の責任において復興、そして帰還できる環境整備を進めるよう必要財源の長期確保を含め、機会あるごとに強く要求してまいります。

 次に中間貯蔵施設について申し上げます。
 環境省が発表した本年2月末時点における用地の状況を申し上げますと、全体面積約1,600ヘクタールのうち、調査確認承諾済が約1,110ヘクタール、物件調査済が約1,070ヘクタール、契約済が約336ヘクタールとなり、全体面積に対する割合が、約21.0パーセントになっております。地権者の皆さまの一定の理解が進んでいるものと考えております。中間貯蔵施設は双葉町ひいては福島県全体の復興を進める上で、必要な施設でもありますので、今後も環境省には丁寧な説明と地権者の気持ちに寄り添った交渉を進めるよう求めてまいります。
 また、中間貯蔵施設への輸送量の増大に伴い、輸送車両も大幅に増えることから、道路整備をはじめ施設及び輸送の安全対策に十分に配慮し、事故防止等に万全を期すよう、強く要求してまいります。

 また、廃炉の取り組みについてでありますが、東京電力は、原子炉格納容器内に調査用ロボットを投入するなど、徐々に内部の様子が判明しておりますが、まだまだ明らかになっていない部分が多く、廃炉作業においても国と東京電力に対しては、安全確保の徹底と廃炉措置の着実な履行を強く要求してまいります。

 次に長期化する避難生活にあって町民の皆さまが最も必要な支援措置である医療費一部負担等の免除、高速道路通行料金の無料措置についてでありますが、議会の皆さまと連携の下、国への要望活動を積極的に行った結果、平成29年度も免除、無料措置の1年延長が決まったところであります。今後も支援措置を継続するよう要望活動を行ってまいりたいと考えております。

 ここで平成29年度に、重点的に取り組む施策について申し上げます。
 双葉町復興まちづくり計画(第二次)の基本目標として「町の再興」「生活再建」「町民のきずな・結びつき」の三つを掲げました。基本目標を達成するためのそれぞれの重点施策を申し上げますと、先ず「町の再興」として、双葉町復興まちづくり計画(第二次)に掲げた施策の取り組みの具現化を図ってまいります。先ほど申し上げました中野地区復興産業拠点については、その整備に加え、中野地区に新たな産業、雇用を創出するため、企業立地にかかる調査、広報、研修、研究及び説明会を開催し、企業誘致を図ってまいります。また、就労者等のサポート施設となる産業交流センターについても隣接するアーカイブ拠点施設及び復興祈念公園との連携を踏まえ、基本構想を策定してまいります。
 また、新たな生活の場となる新市街地ゾーンとしているJR双葉駅西側地区についても除染が間もなく完了いたしますので、中野地区に引き続き具体的な整備計画の検討を進めてまいります。
 さらに、公共土木施設の災害復旧を進めるのと併せて復興インターチェンジの本格着工や町道及び下水道に係る全体計画・事業計画の策定など、復旧復興を加速化させ、具現化していく取り組みを行ってまいります。
 新設する共同墓地については、平成29年度内に供用開始をするべく、整備を進めてまいります。

 次に「生活再建」についてでありますが、二年目となる生活サポート補助金は、高齢者等の申請時の簡素化等、更なる使い勝手の向上について、国と調整を図ってまいります。
 また、居住家屋の損壊程度調査については、町民の皆さまの住宅再建や税制上の優遇措置等と関連があることから、町民に対する広報や事務処理の迅速化を図ってまいります。
 さらに、中間貯蔵施設に関して用地契約による生活再建の支援策のための給付金や相談窓口の開設を行い、地権者の不安や悩みの解消を図ってまいります。
 町外における拠点の整備については、「双葉町町外拠点の中心」と位置づけているいわき市勿来酒井地区復興公営住宅が平成30年3月に入居開始予定となっておりますので、町としても引き続き整備主体の県と連携しながら医療施設、高齢者サポート施設、共同店舗などの併設施設を設ける等により、居住者の安全、安心の確保と利便性の向上に向けて取り組んでまいります。
 さらに、再開の準備を進めておりました高齢者の介護福祉施設でありますが、関係者の皆さまのご努力により、介護予防認知症対応型共同生活介護施設「グループホームふたば」が郡山市安積町荒井地内に本年4月から、また、特別養護老人ホーム「せんだん」については、いわき市錦町地内に本年7月に開所を予定されており、高齢者福祉対策についても環境が整うことになります。

 「町民のきずな・結びつき」についてでありますが、避難生活の長期化、避難先の広域化により、町行政と町民、町民相互のきずなが薄れていくことが懸念されることから、円滑な行政情報伝達と町民相互のきずな・コミュニティの維持・発展を図るための諸施策を強く進めていく必要があります。
 町と町民、町民同士のコミュニケーション不足を解消するため、新しいタブレット端末を更新、無償貸与し、円滑な行政情報の伝達と町民のきずな・コミュニケーションの維持・発展を図ってまいります。
 また、避難先で町民同士のコミュニティの維持・発展ができるよう、引き続き復興支援員を配置するとともに、交流機会の創出に向けたイベントの企画や町民主体の復興の動きを加速化させるため、民間の担い手組織の組成に向けたコーディネイトなどを実施してまいります。
 さらには、町民のきずなの維持・発展に向けた取り組みとして、子どもたちのきずなの維持、生涯学習事業の推進、スポーツの振興を図り、町民のコミュニティの維持に向けて引き続き取り組んでまいります。

 以上、二期目の主な取り組みを述べましたが、町政運営にあたりましては、引き続き議会と町民の皆さまとの対話を重視するとともに、双葉町復興まちづくり計画(第二次)を基本として双葉町の復興に向けて全力で取り組んでまいります。

双葉町長 伊澤 史朗