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平成28年度町長施政方針_平成28年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

平成28年度町長施政方針_平成28年4月1日
(2016年4月1日更新)
 東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の発生から3月11日で丸5年となりました。改めて犠牲となられた皆さまのご冥福をお祈りしますとともに、今なお厳しい避難生活を強いられ、不自由な生活を送られている町民の皆さまに対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 今なお双葉町民は、3月1日現在で全国38都道府県337の市区町村等に分散避難を続けておりますが、私は双葉町の復興を少しでも前に進めるため、これまで様々な課題に取り組んでまいりました。
 
 平成28年度も、引き続き双葉町の復興まちづくりの理念である、「町民一人一人の生活再建」と、「町の復興」を進めるため、双葉町が抱える諸課題の一つ一つに確実に取り組み、町民の皆さまに双葉町の復興を実感していただけるよう、初心を忘れず、誠心誠意取り組んでいく考えであります。
 ここで、平成28年度に重点的に取り組むべき施策について申し上げます。

 第1に避難指示解除準備区域についてであります。
今月末で両竹、浜野地区の本格除染が終了します。町の復興に資するため双葉町復興町民委員会の提言も踏まえ、中野地区復興産業拠点に廃炉・研究開発・人材育成研修施設等整備の具現化に向けて、新年度当初予算に基本設計及び測量、ボーリング調査経費を計上しました。将来の町づくりに向けた復興拠点の第一歩として事業を開始します。
 また、昨年6月に国から連結許可がおり、平成31年度に供用開始予定の復興インターチェンジ設置と県道井手・長塚線の改良整備により、将来的に双葉町を横断する復興シンボル軸が形成されることは、復興拠点整備の加速化を図り「目に見える復興」の実現に向けて、大切な役割を果たすことになります。
 さらに、本地区には昨年福島県より決定がなされた、復興祈念公園の基本構想が今年度末に、県によりとりまとめられる予定となっております。町としましても、震災・原発事故記録保存、展示等は大変意義があるものであるため、アーカイブ事業の実施に取り組むとともに、さらに県にアーカイブ施設の誘致を含め、様々な要請をしてまいります。

 第2に、町内の除染と町外拠点である復興公営住宅の取組についてであります。
 国の「大熊・双葉ふるさと復興構想」では帰還困難区域であっても、町の復興に資する観点から優先的に除染を行うことを地元とともに検討する」とされており、平成28年度より双葉駅西地区、約40ヘクタールの面的除染の実施が決定されました。早ければ夏にも着手の見込みであり、ようやく帰還困難区域の拠点除染が開始されることとなります。町民の皆さまの「双葉町への将来的な帰還」を進めるべく、今後は駅西から両竹、浜野地区を結ぶ町の旧市街地のエリアの面的除染を求め、将来の双葉町の生活基盤としての居住空間となる市街地の整備を進め、避難されている町民の皆さまが「町に戻りたい」との希望に添えるよう、様々な機能を配置してまいりたいと考えております。
 また、復興公営住宅を中心とした双葉町外拠点の整備については、双葉町民が集い居住できる県営の復興公営住宅が、いわき市、郡山市、南相馬市、白河市に順次整備され、入居が始まっております。そのうち、双葉町外拠点の中心となるいわき市勿来酒井地区の整備は、ようやく今月着手となり、平成29年度後期に完成入居予定であることから、町民のコミュニティ、生活環境改善のためにも、早期入居が可能となるよう引き続き県に対して強く要請し、入居を希望される町民の皆さまが、1日でも早く復興公営住宅に入居できるよう、取り組んでまいります。

 第3に、町の復興に向けた取組についてであります。
 本年2月に復興庁より、昨年実施しました住民意向調査の速報値が発表されました。「町に戻りたい」と希望された方が13.3ポイントで昨年より1ポイント上がり、「戻らない」と決めている方が55.0ポイントで昨年より0.7ポイント下がりました。町としましては、双葉町に戻りたいと希望される方や判断が付かない方、将来の双葉町の担い手となりうる方へ、将来の双葉町の絵姿を示すため、双葉町復興町民委員会の提言を受けて「双葉町復興まちづくり事業計画」の改訂、「双葉町再生可能エネルギー活用・推進計画」「双葉町内復興拠点基本構想」を今月中に策定し、町民の皆さまに双葉町の復興への理解を深めていただくようにしたいと思います。
 
 第4に、町民のきずなの維持・発展についてであります。
 全国各地に避難している町民の皆さまのきずなをつないでいくため、各種事業を継続・充実して実施いたします。主なものとして、タブレット端末を活用した円滑な情報提供と利用促進を図るため、利用者への運用サポートと県内外での個別相談会を実施するほか、地域スポーツ振興事業の実施、復興支援員によるコミュニティづくりへの支援など、町民同士のきずなの維持と交流機会の拡大を図ってまいります。
 議会の皆さまと協議をさせていただきました、「中間貯蔵施設整備等影響緩和補助金」が新年度より事業開始いたします。各地に避難を余儀なくされる中、避難生活に伴って発生する移動経費や就業に向けての受講費等の支援に係る事業を実施し、町民の皆さまに今後10年間の経済的負担を少しでも軽減することが可能となるよう、事業を開始するものです。
 また、昨年12月に次年度の医療費一部負担金等の免除、高速道路通行料金の無料措置の現行通りの延長を議長、副議長と共に国へ要望し、今般免除、無料措置の一年延長が決まったところであります。
 現在、中野地区に一時立入休憩所がありますが、本年秋の利用開始を目標に双葉町コミュニティーセンターの一部を一時立入休憩所として整備を進めており、平成27年度はトイレの水確保のため、さく井工事を実施したところです。
 このほか、震災により被災しました道路等補修工事、町民の皆さまの被害実態に沿った迅速、確実、十分な損害賠償を、引き続き、国、東京電力へ要求していくことや、再開した町立学校での特色ある教育の推進と、教育環境の充実等、将来を担う子どもたちの教育は町の存続に係わる重要施策として位置付けております。
さらに、町民の皆さまの内部被ばく検査、甲状腺検査など健康管理対策及び高齢者福祉対策などの課題にも継続して取り組んでまいります。

 次に、中間貯蔵施設について申し上げます。
 この中間貯蔵施設は、福島県全体の復興を進める上で必要不可欠な施設である一方で、町民の皆さまのご理解とご協力が何よりも重要でありますが、地権者の方々より、各戸訪問、物件調査、調査後の査定額等の提示が遅れている状況にあり、国の対応が町民に寄り添ったものでないとの指摘があることから、国に対してしっかり対応するよう強く求めているところです。また、除染土壌が県内各地より双葉町の保管場へ試験輸送が行われており、町への帰還の判断にも影響を及ぼす可能性が高いことから、施設及び輸送の安全確保等、国に対して重ねて地元の意向を踏まえた対応を強く要求しているところです。
 町としましては、中間貯蔵施設に係る相談窓口における専門家の対応や地権者支援事業などに続けて取り組んでまいります。

 最後に廃炉の取り組みについてでありますが、福島第一原子力発電所での廃炉作業において、国と東京電力に対しては、安全確保の徹底と、廃炉措置の確実な実施を改めて強く要求するものであります。

 今後の町政運営にあたりましては、議会及び町民の皆さまとの対話を重視し、双葉町の復旧、復興のために邁進していきたいと考えておりますので、引き続きご協力と、ご支援をお願いいたします。

双葉町長 伊澤 史朗