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平成27年度町長施政方針_平成27年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

平成27年度町長施政方針_平成27年4月1日
(2015年4月1日更新)
 平成27年度の町政運営に対する私の所信を申し上げ、広く町民の皆さまのご理解とご協力を賜わりたいと存じます。

 冒頭、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の発生から、先月11日で丸4年となりました。改めて犠牲となられた皆さまのご冥福をお祈りしますとともに、今なお厳しい避難生活を強いられ、不自由な生活を送られている町民の皆さまに対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 今なお双葉町民は、全国39都道府県300以上の市区町村等に分散避難を続けておりますが、双葉町の復興を少しでも前に進めるため、昨年1年間を双葉町の本当の意味での「復興元年」と位置付け、町立学校の再開、双葉町復興まちづくり長期ビジョンの策定に向けた取組や、復興公営住宅と双葉町外拠点の早期整備に向けた取組、中間貯蔵施設への対応など、様々な課題に取り組んでまいりました。

 町民の皆さまの避難生活も長期化し困難な状況にありますが、全町避難から5年目を迎える平成27年度も、引き続き双葉町の復興まちづくりの理念である、町民一人一人の復興と町の復興を目指し、双葉町が抱える諸課題の一つ一つに確実に取り組み、町民の皆さまに双葉町の復興を実感していただけるよう、初心を忘れず誠心誠意取り組んでいく考えであります。

 ここで、平成27年度に重点的に取り組むべき施策について申し上げます。

 第一に、復興公営住宅を中心とした双葉町外拠点の早期整備についてであります。
 双葉町民が集まって居住できる県営の復興公営住宅が、いわき市、郡山市、南相馬市、白河市に整備されることが決まりました。しかしながら、先日、福島県から、双葉町外拠点の中心となるいわき市勿来酒井地区の整備が平成29年度後期まで遅れるとの発表がありました。町としては、段階的な整備・入居を含めて、早期入居が可能となる措置を県に対して強く要請するとともに、双葉地方町村会としても県への緊急要望を行いました。希望される町民の皆さまが、1日でも早く復興公営住宅に入居できるよう、取り組んでまいります。

 第二に、町の復興に向けた取組についてであります。
 まず、町の将来像を明らかとした「双葉町復興まちづくり長期ビジョン」についてでありますが、この最終報告を2月24日に双葉町復興推進委員会からいただきました。私としては、この報告を尊重しつつ、議会の皆さまの御意見をお伺いした上で、町の「復興まちづくり長期ビジョン」を決定し、このビジョンに基づき、町の復興に向けた具体的な取組を進めてまいりたいと考えておりますので、議会の皆さまのご理解をお願いいたします。
 双葉町の復興のさきがけとして、避難指示解除準備区域である両竹・浜野地区の復興を進めていきたいと考えております。両竹・浜野地区については、平成27年度中に除染が終了する見込みであり、その後、津波防御のための施設である、福島県による海岸堤防の整備が平成30年度、海岸防災林の整備が平成32年度を目標として進められます。こうしたことを勘案し、両竹・浜野地区については、概ね5~10年後までに、町の産業・復興拠点として発展を遂げていることを目標として、復興に向けた取組を進めていきたいと考えております。
 具体的には、中野地区に、産業・業務機能の早期立地を軸とした「復興産業拠点」の整備を進め、ここに廃炉・除染・インフラ復旧等に従事する事業所の先行立地を図るほか、廃炉に関わる研究機関などを誘致し、町の産業再生のさきがけとなる拠点としていく考えであります。また、復興祈念公園の設置を県に強く求めてまいります。さらに、両竹地区における再生可能エネルギー拠点の形成及び再生可能エネルギーを活かした植物工場等の農業再生モデル事業の構想の具体化に取り組んでいきたいと考えており、このような取組を通じて、双葉町の復興のきざしを町民の目に見える形で発信したいと考えております。

 第三に、町内の除染、復旧、荒廃を防ぐ取組についてであります。
 まず、除染については、避難指示解除準備区域内の両竹・浜野地区での本格除染のほか、帰還困難区域内における国による拠点除染として、双葉中学校、双葉高等学校、駅コミュニティセンター、双葉駐在所、国道288号線、県道4路線の実施計画がまとまり、一部除染が開始されたところであります。今後は、水道管が埋設されている町道なども実施される見込みです。
 昨年8月に国の「大熊・双葉ふるさと復興構想」において、「町の復興拠点として重要な地区や施設等について、現時点において帰還困難区域であっても、町の復興に資する観点から優先的に除染を行うことを地元とともに検討する」とされていることから、引き続き帰還困難区域内の除染に向けて、国との協議を行っていきます。
 さらに、避難指示解除準備区域内において、現在国による津波がれきの処理が実施されているほか、平成27年度当初予算に、町道等の被害箇所の測量設計や、町道環境整備のための費用を計上しました。特に、町道路肩の除草及び除草剤の散布を行うほか、倒壊家屋が町道を塞ぎ、車両の通行に支障となっている箇所については、家屋の所有者の了解を得た上で、支障部分を取り除き、通行箇所の安全を確保していく考えであります。
 また、町内の防犯対策や一時帰宅者の支援として、24時間体制での防犯防災パトロールも引き続き実施してまいります。

 第四に、町民のきずなの維持・発展についてであります。全国各地に避難している町民の皆さまのきずなをつなぎとめていくため、各種事業を実施いたします。主なものとして、今年度導入したタブレット端末を活用した円滑な情報提供と利用促進を図るため、利用者への運用サポートと交流会を実施するほか、大字総会への参加費の一部助成、地域スポーツ振興事業の実施、復興支援員によるコミュニティづくりへの支援など、町民同士のきずなの維持と交流機会の拡大を図ってまいります。

 このほか、町民の皆さまの被害実態に沿った迅速、確実、十分な損害賠償を、引き続き国、東京電力へ要求していくことや、昨年度再開した町立学校での特色ある教育の推進と教育環境の充実、町民の皆さまの内部被ばく検査、甲状腺検査など健康管理対策、及び高齢者福祉対策などの喫緊の課題にも取り組んでまいります。

 これらの平成27年度に行う町民の生活再建と町の復興に向けた取組については、双葉町復興推進委員会の最終報告を踏まえて改訂する、双葉町復興まちづくり計画(第一次)に基づく事業計画に則り、各種施策を着実に実施してまいります。

 次に、中間貯蔵施設について申し上げます。
 この中間貯蔵施設は、福島県全体の復興を進める上で必要不可欠な施設である一方で、本施設の設置により、本町の復興に多大な影響を与える施設であることから、国、県に対しては、町の復興に特段の措置を講じるよう強く求めているところであります。
 さらに、町への帰還の判断にも影響を及ぼす可能性が高いことから、施設及び輸送の安全確保はもちろん、国に対して、地権者、町民の皆さまの生活再建の取組についても、今後ともしっかり進めるよう強く要望しているところであります。
 特に、国においては、本事業は地権者の理解なくしては進められないことを肝に銘じ、今後の対応として、地元の感情を逆なでするような強引な進め方をしないよう、虚心坦懐に地権者の声を聞き、丁寧に進めていくことを改めて強く要求するものであります。
 町としましても、中間貯蔵施設に係る相談窓口における専門家の対応や地権者支援事業などに取り組んでまいります。

 さて、去る3月1日には、念願であった常磐自動車道が全線開通し、双葉町を始めとする被災地の復興に弾みがつくものと考えており、その意味においても双葉町の復旧、復興に向けて、本年は、大変重要な年となると考えています。
 しかし、その一方で福島第一原子力発電所での廃炉作業においては、作業中の重大事故や、汚染水の流出などの深刻なトラブルが相次いで発生しております。国と東京電力に対しては、安全確保の徹底と、廃炉措置の確実な実施を改めて強く要求するものであります。
 
 さらに、ふるさと双葉町への帰還と町の再興、町民の皆さまの生活再建策の充実、避難者支援の継続などについて、今後も国への要望を行ってまいります。
 また、復興集中期間が平成27年度までとされていることから、他の地域に比べて特別に厳しい双葉町の現状を踏まえ、復興集中期間後においても、復興に関する財源の確実な確保を国に強く要望していく考えであります。
 
 今後の町政運営にあたりましては、議会及び町民の皆さまとの対話を重視し、双葉町の復旧、復興のために邁進していきたいと考えておりますので、引き続きご協力とご支援をお願いいたします。
 
 以上、平成27年度における施策の方針といたします。

双葉町長 伊澤 史朗