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平成31年度町長施政方針_平成31年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

平成31年度町長施政方針_平成31年4月1日
(2019年4月1日更新)
 本議会は平成最後の定例会となり、5月からは新しい元号のスタートとなる節目であります。双葉町復興まちづくり計画(第二次)と特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づく取り組みを進め、復興をさらに具現化するべく一層気を引き締めて町政にまい進してまいります。

 双葉町立小学校の5、6年生の児童が、被災地訪問として広島市の原爆ドームや神戸市の阪神・淡路大震災のアーカイブ施設を見学して学習したことについて、昨年12月、「震災復興から考える僕らの未来」と題して発表を行いました。
 子どもたちは、「まちの復興のために大切なのは、僕たちの心であり、広島の人たちも神戸の人たちもふるさとの復興を決してあきらめなかったことが災害からの復興・再生に繋がっている」と発表しました。
 長い年月がかかっても必ず復興し、発展につながる先進事例を子どもたちが体感したように、必ず双葉町を復興させ、ふるさとを取り戻すという強い信念のもと各種施策に取り組んでまいります。

 まもなく震災から8年が経過いたします。3月11日には「東日本大震災双葉町追悼式」を挙行し、ご遺族の皆さま並びに関係者の皆さまのご列席を賜り、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、改めて多くの尊い命が失われたことに深い哀悼の意を捧げてまいります。
 また、長きにわたる避難生活に区切りをつけ、町民の皆さまが帰還できる環境の整備を急がなければならないことを胆に銘じ、復興の具現化を加速してまいります。

 一昨年9月に「特定復興再生拠点区域復興再生計画」が内閣総理大臣の認定を受け、現在、除染・建物解体が特定復興再生拠点区域内で進められているところです。この復興再生計画を踏まえた特定復興再生拠点区域内の避難指示の解除の方針については、町議会や町政懇談会、行政区長会の折に説明し、町議会や町民の皆さまにご理解をいただいたところであります。
 町としては、JR 常磐線が全線開通する2020年の春に向け、「働く拠点」と「発信拠点」を整備している避難指示解除準備区域と JR 双葉駅周辺の一部区域の先行的な避難指示の解除と、特定復興再生拠点区域内の立ち入り規制の緩和を目指してまいります。そして、帰還を希望する町民や町内の「働く拠点」等での就労者の生活の場となる「住む拠点」の整備を進め、2022年の春頃の「特定復興再生拠点区域全域」の避難指示解除と合わせて居住開始を目指してまいります。
 しかし、避難指示の解除はゴールではなく、復興に向けたスタートであり、町内環境はもとより、避難の長期化によって健康、仕事、暮らしなど、様々な面で多くの課題を残しております。
 国は原子力政策を推進してきたことに伴って大変大きな社会的責任を負っております。特に双葉町は他町村と異なり、特定復興再生拠点の避難指示解除後も町域の約8割以上が帰還困難区域のままとなっているほか、福島県全体の復興のため中間貯蔵施設を受け入れるという苦渋の判断をおこなっており、町の復興・再生をさらに進めるためには国の「復興・創生期間」後も継続して国が前面に立って取り組む責任があると考えており、今後も強く国に要請してまいります。

 私が町長に就任し、一期目の2014年を復興元年と位置付けし、各種施策を展開してまいりました。二期目の2018年は、復興まちづくりの具現化元年と位置付けし、双葉町復興まちづくり計画(第二次)を踏まえ、各種事業に鋭意取り組み、町の復興に向けて大きく動き出した1年でありました。
 2019年度は、復旧・復興の具現化が進む中で、避難指示の一部解除に向け帰町が可能となる環境の整備に関する取り組み等について庁内横断的な調整と迅速な具現化を図るための「帰町準備室」や、町内の放射線量等の検証を行う「仮称 放射線量等検証委員会」を設置、さらには防犯対策の強化等のための防犯総合システムの第3期整備として防犯カメラ等の設置のための設計費の計上など、町民の双葉町への帰町に向けた安全・安心に資する各種施策に取り組んでまいります。

 医療費の一部負担金等の免除と高速道路通行料金の無料措置についてでありますが、私たちが安心して避難生活を送るために必要な施策の1つは、医療費一部負担金等の免除と高速道路通行料金の無料措置であります。高速道路通行料金の無料措置については、昨年発行された「ふるさと帰還通行カード」により、2019年度も引き続き無料措置が講じられます。
 医療費についても引き続き減免されることになりましたが、避難生活が続く限り、この措置は講じられるべきであり、町議会の皆さまと連携を図りながら、今後も国に強く要望を行ってまいります。

 次に中間貯蔵施設整備事業についてでありますが、環境省は、県内に仮置きされている除去土壌等について、帰還困難区域を除き、2021年度までに概ね搬入完了を目指す方針を示しております。2019年度は400万立方メートル程度が搬入される予定で、輸送のための交通量の増大が予想され、交通事故防止のためにも道路整備が不可欠であります。
 双葉町における輸送ルートとして農道原田・前田線の整備や町道山田・郡山線の改良工事、富沢橋の架け替え工事も順調に進捗しており、2019年度内にも供用開始が予定されており、輸送の増大に伴う安全対策に大きく寄与するものと考えております。
 また、細谷地区に建設中の仮設焼却施設並びに灰処理施設については、2020年3月の稼働を目指しており、町内での建物解体や片づけゴミ等の可燃物仮置場の縮小に大きく寄与するものと考えております。
 中間貯蔵施設用地の状況ですが、本年1月31日現在、大熊、双葉町分の民有地1,270ヘクタールの内、契約済みが1,052ヘクタールで、約82.9パーセントとなっております。地権者の皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げるとともに、環境省には、地権者に対して丁寧に説明し、地権者の気持ちに寄り添った対応を行うよう引き続き要求してまいります。

 福島第一原子力発電所の廃炉関係についてでありますが、福島第一原子力発電所においては、2月に2号機原子炉格納容器内部の堆積物に対する接触調査が行われ、また今月には3号機使用済燃料プールからの燃料取り出しが予定されているなど、廃炉に向けた取り組みが進められております。
 町としましては、福島県や周辺自治体等と連携し、廃炉作業が安全かつ着実に進展するよう強く求めてまいります。


 平成31年度に重点的に取り組む施策
について申し上げます。
 昨年度に引き続き、双葉町復興まちづくり計画(第二次)の基本目標として「町の再興」「生活再建」「町民のきずな・結びつき」の三つを掲げ、各施策の検証を加えながら、町政を推進してまいります。この基本目標を達成するためのそれぞれの重点施策を申し上げます。

 先ず、「町の再興」として、昨年度は、双葉町復興まちづくり計画(第二次)に掲げた施策の具現化に取り組んでまいりましたが、今年度も引き続き事業の進捗管理を行いながら各種の復興まちづくりに取り組んでまいります。特に「官民連携・協働によるふるさとふたばの創生」を目指して、本年4月より業務を開始する予定の「まちづくり会社」と連携し、町の復興への取り組みをさらに推進してまいります。
 町の再興で重要なのは、双葉町の基幹産業である農業の再開であります。昨年は農業分野を推進するための基本構想を策定し、双葉町の農業再興の方向性を示す営農再開ビジョン骨子を作成しました。今年度は、骨子を詳細化し、営農再開ビジョンを策定するとともに、特定復興再生拠点区域内の農地の除染後の保全管理を行うための組織の立ち上げを支援してまいります。さらに農家の皆さんが安心して営農再開できる環境を整備するため、環境省には徹底した除染を求めてまいります。
 中野地区復興産業拠点については、造成が完了したところから順次供用を開始しているところであります。町としましては、町内事業者の事業再開や新規立地に向けた立地支援と企業誘致を積極的に取り組んでいるところであり、立地協定を順次締結しているところであります。さらに現在約20社の企業との立地協定締結に向けて、協議を進めているところであり、操業奨励金等の企業支援に係る経費を計上し、企業誘致活動を推進してまいります。
 また、産業交流センターについても2020年度の開所を目指し、就業者、来訪者、一時立ち入りする町民の総合的なサポート拠点として整備を推進してまいります。
 「情報発信拠点」としての県のアーカイブ拠点施設は、2020年夏頃の開館を目指し、2月9日に起工式が行われました。双葉町においても震災の記憶を後世に伝えるため、アーカイブ事業に関する所掌事務を教育委員会が担当し、県と連携しながら事業を進めてまいります。
 同じく県事業であり双葉町、浪江町両町にまたがる約50ヘクタールのエリアに整備する復興祈念公園については、昨年7月に基本計画が策定され、現在基本設計が行われているところです。震災の犠牲者への追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する強い意思の発信のため復興祈念公園とアーカイブ拠点施設などとの相互連携により町に賑わいを生み出したいと考えております。
 町内の復興拠点の広がりとして長塚寺内前地区に整備した「双葉町寺内前霊園」については、墓地区画の使用を開始しており随時申請受付と相談を行っているところです。
 次に常磐自動車道双葉インターチェンジ(仮称)と中野地区復興産業拠点を結ぶ復興シンボル軸の整備についてでありますが、双葉インターチェンジは2020年春の供用開始を目指し、順調に進捗しているところです。また、県が整備する復興シンボル軸については、用地交渉も順調に進み、2020年3月の暫定供用開始を目指して整備が進められております。また、アクセス機能強化及び安全性、利便性の向上を図るため、町道改良事業や災害復旧事業により幹線町道の整備を行ってまいります。
 JR 常磐線については、第一前田川橋梁工事が完成し、線路等の除染工事も順調に進み、2020年春の全線開通が予定されております。また、JR東日本水戸支社との協定により進めております JR 双葉駅の東西を結ぶ自由通路及び橋上駅舎の整備についても順調に進捗しているところであり、JR 常磐線の全線開通に合わせた供用開始を目指しております。
 さらに駅東側の広場を整備することで駅周辺の利便性の向上を図り、避難指示の解除とともに人の賑わいを創出していきたいと考えております。
 JR 双葉駅西地区の「住む拠点」については、都市計画を決定し、福島県の事業認可を経て、現在用地買収等に着手しております。今年度は JR 双葉駅西側を中心とする第1期区域10.8ヘクタールの整備に関し、実施設計並びに施工費を計上したところであり、2022年春頃の特定復興再生拠点区域の避難指示解除に合わせて住民の居住開始を目指し、同区域の街区道路、災害公営住宅、福島再生賃貸住宅や官民複合施設などの整備に取り組んでまいります。
 また、特定復興再生拠点区域内の既成市街地は昔からの町の中心部であり、町の顔となる場所であります。駅西地区の整備と併せ、既成市街地の再生に向けて、まちづくり会社と連携しながら、具体的な検討を進めてまいります。

 次に「生活再建」についてでありますが、 家屋の被害認定調査については、特定復興再生拠点区域内の生活環境整備や住宅再建、生活再建には欠かすことのできない重要な調査であります。そのため、迅速な事務処理を行い、申請からり災の判定結果が出るまでの時間短縮を図ってまいります。
 町外における拠点整備については、復興公営住宅勿来酒井団地への入居が昨年開始されましたが、今後は整備主体である県及び関係機関と連携しながら、居住者の安全、安心の確保と利便性の向上に取り組んでまいります。
 また、介護施設である「グループホームふたば」が郡山市に、並びに特別養護老人ホーム「せんだん」、グループホーム「せんだんの家」がいわき市に開所し、福祉介護の施設環境が整ったところでありますが、運営の評価については、第三者機関により行い、質の高い高齢者福祉対策を推進してまいります。

 次に「町民のきずな・結びつき」についてでありますが、避難生活の長期化に伴う町民の心身の健康の維持やコミュニティの形成、生きがいづくり等に向けた各種事業も継続して実施していくこととしています。
 昨年度は、町広報紙「広報ふたば」、コミュニティ情報紙「ふたばのわ」に加え、広報ふたばの動画版「広報ふたばダイジェスト」を制作、配信するとともに、町公式ホームページ、コミュニティ放送FMいわき、タブレット端末等を通して、町からの情報発信の充実を図ってまいりました。今年度も引き続き各種情報発信ツールを使って町行政と町民、町民相互のきずなの維持を図るとともに、交流機会の創出に向けたイベント情報や行政情報の円滑な伝達手段であるタブレット端末を活用して町民相互のコミュニティの充実を図ってまいります。
 さらに、町民相互の交流機会の確保と各行政区におけるきずな・結びつきの維持を図るため、地区総会開催における経費の一部を補助し、その宿泊費についても生活サポート補助金の対象としております。生活サポート補助金については、引き続き、個別訪問や窓口相談、コールセンターでの問い合わせ対応などにより、補助金申請率の向上を図ってまいります。
 将来の双葉町を担う小・中・高校生の再会の機会の創出と、児童・生徒同士及び保護者同士のつながりときずなの維持発展のため、今年度も夏季期間中に「集まれ!ふたばっ子2019」を開催してまいります。
 また、町民参加の体育行事として、昨年度も絆スポレクふたば実行委員会が「ふたばスポーツフェスティバル2018」をJヴィレッジで開催しました。また、JOC 主催による「オリンピックデー・フェスタ in ふたば」も同時開催され、多くの町民の皆さんがスポーツを通して運動不足を解消するとともに、再会を楽しむなど、町民同士の「きずな・結びつき」に大きな役割を果たしていることから、2019年度も引き続き開催してまいります。

 以上、平成31年度の主な取り組みを述べましたが、町政運営にあたりましては、引き続き町民の皆さまのご意見をお聞きし、議会と連携を図りながら双葉町復興まちづくり計画(第二次)を基本として、各種復興事業の具現化に向けて職員一同全力で取り組んでまいりますので、議員各位並びに町民の皆さまの一層のご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。


双葉町長 伊澤 史朗