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令和4年度町長施政方針_令和4年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

令和4年度町長施政方針_令和4年4月1日

 令和4年第一回双葉町議会定例会が開催されるにあたり、所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

  さて、明後日の3月11日で、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から、丸11年を迎えます。当日は双葉町産業交流センターにおいて、町内では2回目となる「東日本大震災双葉町追悼式」を挙行し、改めて震災により尊い命が失われた方々の御霊に対し、哀悼の誠を捧げてまいります。

 新型コロナウイルス感染症については、本年に入ってから従来株よりも感染力が強いと言われるオミクロン株により感染者が急増し、福島県は1月30日から2月20日までの間、県全域に「非常事態宣言」を発出するとともに、「まん延防止等重点措置」の区域も県内全域に拡大し、感染防止対策を講じていたところでしたが、収束の兆しが見えない状況が続いていたことから、さらに3月6日まで「非常事態宣言」及び「まん延防止等重点措置」を延長して感染防止対策を行ってきたところです。

 先週政府は、新規陽性者数が多く、病床使用率が依然として高い水準で推移している 18都道府県で「まん延防止等重点措置」の期限を6日から21日まで延長することにしました。福島県は新規感染者数や病床使用率などがピーク時と比べ改善していることから再延長を要請しませんでしたが、引き続き予断を許さない状況にあることから療養者数を減少させ、医療提供を確実に行い、感染者数の少ない状態が安定的に続くよう県民に基本的な感染防止対策の徹底を呼びかけております。

 町民の皆さまにおかれましては、長期にわたり感染防止対策を実践されていることに心から感謝申し上げるとともに、今後も感染リスクの高い行動を控えるとともに、マスクの着用、手洗い、手指の消毒、三密を避けるなど引き続き基本的な感染防止対策の徹底をお願いします。
 双葉町では、避難先の自治体のご協力のもと、重症化リスクの高い高齢者の皆さまから順に、当初の予定を前倒しして3回目のワクチン接種に係る対応を進めております。

 こうした厳しいコロナ禍の最中であっても、双葉町は復興へのスピードを緩めることなく、復興まちづくり計画(第二次)に基づき、各種事業の具現化に取り組んでまいりました。
 なお、本来なら昨年挙行すべきところであった双葉町合併70周年記念式典についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が懸念されたこともあり、双葉町への帰還も見据えて、令和4年度町表彰式と併せて挙行したいと考えております。

 さて、令和の新しい時代も早いもので4年目を迎え、また、明日10日で、私が町長に就任してから三期目の二年目を迎えることになります。
 双葉町は、今年6月以降の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除、町民の帰還、居住開始により新たな復興のステージへのスタートラインに立ち、11年間の全町避難から町民の帰還へと大きく舵を切ります。これからがまさに双葉町の未来を切り拓いていくための正念場となるため、町民の皆さまの生活支援をはじめ、新たなまちづくりに引き続き全力で取り組み、町の復興への取り組みをさらに加速させてまいります。

 そのために、まず、特定復興再生拠点区域の避難指示解除要件の充足を確認するため、放射線量等の低減状況について双葉町放射線量等検証委員会による専門的な見地から検証されることが重要であると考えており、引き続き検証を重ねていただくこととしております。
 一方、同区域内に帰還を希望される方が、スムーズに帰還ができるよう1月20日から準備宿泊を実施しております。3月6日現在、準備宿泊に登録している世帯は延べ20世帯となっておりますが、今後、準備宿泊や帰還を希望される方には現状の生活環境の説明と各種情報の提供を行い、宿泊される方の安全対策をしっかり確保し、準備宿泊等に関する理解を深めていただくよう取り組んでまいります。
 また、避難指示解除に向けて、町民の皆さまのご意見を伺う場として、今後、国の原子力災害対策本部と共催で住民説明会を開催してまいります。双葉町放射線量等検証委員会からの報告書及び住民説明会での町民の皆さまのご意見を踏まえ、議会と協議をさせていただきながら、特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除の適否やその時期を判断してまいります。

 なお、避難指示が解除されても、当分の間、多くの町民の皆さまが避難先での生活を続けられることが予想されることから、引き続き避難先での生活支援を継続するとともに、医療費の一部負担金等の免除や高速道路の無料化の措置の継続について、国に対し、強く要望してまいります。

 特定復興再生拠点区域外についてでありますが、国へ拠点外の取り扱い方針の提示を強く要望したこともあり、昨年8月に特定復興再生拠点区域外について「2020年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう、帰還意向を個別に丁寧に把握し、避難指示解除の取り組みを進める」という方針が国の原子力災害対策本部にて決定されました。時間軸を示したこの方針については、従来の政府方針から一歩進んだものと受け止めておりますが、双葉町としては、町内全域の避難指示解除を求めていく考えに変わりはなく、そのことを引き続き、国に強く求めてまいります。

 そして、福島第一原子力発電所においては、中長期ロードマップに基づき、廃棄物対策、汚染水・処理水対策、使用済燃料プールからの燃料の取り出し、燃料デブリの取り出しに向けた準備などの廃炉作業が進められております。ALPS処理水については、昨年4月に国により安全性を確認、風評対策を徹底することを前提に、海洋放出する方針が示されたところです。町の復興及び町への帰還を着実に果たしていくため引き続き、廃炉の安全かつ着実な実施を国並びに東京電力ホールディングス株式会社に強く求めてまいります。

 次に現在までの復興の取り組みについてでありますが、町では、平成26年を復興元年と位置付け、町立学校の再開、双葉町復興まちづくり長期ビジョンの策定、復興公営住宅と町外拠点の整備、中間貯蔵施設への対応、災害記録誌の発行などに取り組み、一つ一つ着実に実現してまいりました。そして震災から8年目を迎えた平成30年を復興具現化元年と位置付け、双葉町復興まちづくり計画(第二次)に基づき「町の再興」「生活再建」「町民のきずな・結びつき」を施策の柱として各種事業の具現化に鋭意取り組み、一つ一つ実現してまいりました。

 私は三期目の公約として「町民の皆さまの生活支援策」と「町の未来を築くための施策」を掲げました。今後、公約の実現に向け、短期・中期・長期と様々な時間軸で取り組む施策の中で、解決すべき多くの課題や問題が顕在化してくると思いますが、それらにひるむことなく立ち向かい一つ一つ解決していくことが、双葉町の町長である私の果たすべき使命であると考えております。
 今後、「町民一人一人の復興」と「町の復興」を基本理念として策定する双葉町復興まちづくり計画(第三次)の「実施計画」や「まちなか再生プラン」等に位置付ける施策を実現してまいります。

 それでは、これらの考えをもとに、令和4年度に重点的に取り組む施策について申し上げます。

 まず優先してやらなければならないことは、町民の皆さまの命を守るための新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策であります。現在、変異株であるオミクロン株による感染者数が高止まりしていることから、3回目のワクチン接種が急がれております。
双葉町ではワクチン接種について、その履歴を健康管理システムに記録、保存しており、
 2回目接種後、7カ月経過した高齢者の方から順次、接種券を送付しております。避難先の自治体との連携を強化しながら、速やかな接種ができるよう取り組んでまいります。

 次に本年6月以降の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除を見据えた、町民の皆さまの帰還・居住に向けた主な事業に取り組んでまいります。特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除については、先ほど述べさせていただいたとおりです。

 役場の庁舎についてでありますが、町民の皆さまの帰還・居住に向けて町内で行政機能の本格的な再開をするため、現在、駅東側に仮設庁舎を整備しております。8月末からの町内における業務の本格的な再開が円滑に行われるよう執務環境や駐車場の整備を進めてまいります。
 そして、町民の皆さまの帰還や居住に向けた防犯対策については、防犯灯の交換を進めていくとともに、防犯カメラも再整備してまいります。また、24時間体制の町内巡回パトロールに加え、特定復興再生拠点区域内の家屋等の戸別巡回に特化した事業も引き続き継続してまいります。また防災対策の一環として新たにデジタル化した防災行政無線を整備するとともに防災カメラも再整備してまいります。
 帰還支援策としましては、準備宿泊で町が指定した宿泊所を利用される方への宿泊費、そして要件はありますが、町内に所有する住宅の清掃に要する経費、帰還に要する移転費用、住宅の改修工事等に要する経費及び合併浄化槽の設置に係る費用の一部をそれぞれ助成してまいります。

 さらに、特定復興再生拠点区域及び帰還困難区域の住宅敷地が荒廃し、防犯・防災上の観点から対策を講じる必要があることから、自ら行う住環境の整備と環境美化支援の一環として、居住していた世帯または土地所有者に対し、今年度は、除草剤を3本配付してまいりましたが、来年度は配付数を増やし、最大10本としてまいります。

 帰町後のまちづくりに関する事業や施策を取りまとめた双葉町復興まちづくり計画(第三次)についてでありますが、座談会やまちづくりミーティングなどで頂いた意見や有識者会議・復興町民委員会の委員の方々からのご意見を反映し、策定に向け現在、鋭意作業を進めております。
また、策定された双葉町復興まちづくり計画(第三次)の実現に向け取り組むべき具体的な事業実施計画を策定してまいります。

 「住む拠点」として、双葉駅西側地区内に整備を進めている災害公営住宅、再生賃貸住宅の供用開始を見据え、4月25日から6月30日まで事前登録の申し込みを受け付けます。なお、申込書は4月15日からいわき事務所、郡山支所、埼玉支所の各窓口で配布いたします。住宅については、現在、福島県の代行により整備を進めており、10月から一部での入居を予定しております。さらに拠点内2期分の用地を取得し、造成整備を行ってまいります。

 JR双葉駅東側エリアにおける、町有地を活用した公設商業施設の整備に向けた条件整理や実現性を有する基本計画を現在作成しているところです。JR双葉駅東側エリアの再生の軸となるよう進めてまいります。

 医療についてですが、帰還される住民の方々の安全・安心を確保するとともに、健康不安を払拭するため、一次医療機関として、JR双葉駅西側に診療所を整備してまいります。

 双葉町の基幹産業である農業の振興についてでありますが、 特定復興再生拠点区域内の農地約190ヘクタールについて、6地区の農地保全管理組合が主体となり、耕起や除草等の除染後農地の保全管理作業を行っておりますが、今後も安定した保全管理作業ができるよう国、県に対して補助金制度の見直しなどを強く要望し、農地保全管理組合の活動を支援してまいりたいと考えております。
 一方、町では、令和2年度に地域営農再開ビジョンを策定し、令和7年度を目途に本格的な営農再開を目指しておりますが、担い手の確保が喫緊の課題であります。農家の方が帰還され、営農を再開することが本来の姿ですが、農業者の高齢化や後継者不足など、担い手の確保が困難なことなどから農業法人等の新規参入についても検討してまいります。
 また、特定復興再生拠点区域内の水田についてでありますが、上羽鳥地区においては、震災と原発事故による長期避難に伴い、荒廃した用排水路、暗渠排水、畦畔の復旧、均平整地等の基盤整備工事を行います。また、園芸作物による営農再開を目指すため、両竹地区に農業用施設を設置するための土地の造成と測量設計を検討してまいります。その他の地区は、明治、大正、昭和初期に行われた区画整理事業で、区画が10アールと小さく、これからの効率的な営農を考えた場合、ほ場整備・基盤整備事業が不可欠であることから農業振興の重要な柱として事業の推進に取り組んでまいります。

 双葉町の商工業の振興についてでありますが、現在、中野地区復興産業拠点内に立地する企業については、20件、24社との立地協定を締結しております。今後も中野地区復興産業拠点に係る土地整備事業を実施し、企業立地を一層促進するため、私が先頭に立って企業誘致活動を強力に推進するとともに、立地締結企業への情報提供及び企業同士の連携強化を図ってまいります。
 
 町民の皆さまの絆の維持についてでありますが、避難指示の解除により、帰還される町民と帰還を希望されない町民との心のつながりが希薄になることが心配されるため、スポーツ、芸術、文化、芸能活動、各種イベントなどを通して、町民同士の絆を一層強固なものにする必要があると考えております。今後も各種団体の育成、活動に対する支援を行うとともに、特にスポーツ等の交流事業の果たす役割は大きいことから、生涯スポーツ等のイベントが町内で開催できるよう、また防災対策として災害時の避難所等に使用できるよう双葉中学校の体育館を改修してまいります。

 学校教育関係についてでありますが、現在はいわき市の仮設校舎において幼稚園、小・中学校ともに、少人数の学級編成による充実した教育を行っているところですが、ICTを活用した教育をさらに推進するため、本年1月から配置しているICT支援員を引き続き配置してまいります。

 双葉町内での学校再開についてでありますが、本来なら避難指示の解除とともに、双葉町での学校再開が望まれるところですが、現在のところ若い世代の町民の帰還が未知数であるため、幼稚園、小、中学校の校舎等の施設整備については、若い世代の帰還状況や移住者の状況等を見ながら、整備時期や規模感などを慎重に判断する必要があると考えておりますが、双葉町の復興は、将来を担う若い世代抜きには考えられないことから、双葉町での学校再開は欠かすことができない最も重要な課題と捉え、取り組んでまいります。
 現在、特定復興再生拠点区域内では、除染に伴う建物解体、撤去が進められておりますが、貴重な古文書等については、筑波大学の協力を得て被災家屋からのレスキューを継続的に行い、保存・整理を行っているところです。また、歴史的に価値のある文化財についても、保護をしていかなければならないことから、町内の歴史的建造物である「旧田中医院」を国の登録有形文化財として登録・保護しながらまちづくり拠点施設として利用したいと考えております。

 以上、町長就任以来の取り組みと成果並びに令和4年度の町政に臨む私の所信の一端と町政の基本方針を述べましたが、町政運営にあたりましては、引き続き議会並びに町民の皆さまとの対話を重視するとともに、6月以降の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除、そして町民の皆さまの帰還と居住への対応並びに双葉町復興まちづくり計画(第三次)、実施計画の策定並びに具現化に向けて、職員一同全力で取り組んでまいりますので、議員各位並びに町民の皆さまの一層のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
 以上申し述べまして、令和4年度における施政の方針といたします。