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令和3年度町長施政方針_令和3年4月1日

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町民一人一人の復興"と"町の復興"をめざして

令和3年度町長施政方針_令和3年4月1日

令和3年度 施政方針

町民の皆さまへ

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から、本日で丸10年を迎えました。本日午後には、双葉町産業交流センターにおいて、東日本大震災後町内で初めて東日本大震災双葉町追悼式」を挙行いたします。改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、多くの尊い命が失われたことに深い哀悼の誠を捧げてまいります。

 また、世界中が新型コロナウイルス感染症の脅威と戦っている中、新型コロナウイルス感染症により命を落とされた方々やそのご遺族に対しまして心からお悔やみを申し上げますとともに闘病生活を送られている方々にお見舞いを申し上げます。また医師や看護師、保健所職員や臨床検査技師など医療の最前線で日々全力を尽くしている皆さんに心から敬意と感謝を申し上げます。

 さらに、去る2月13日の福島県沖を震源とする最大震度6強の地震により被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 さて、一昨日の9日で私の町長としての二期目の任期が満了となりました。

 町長就任以来の取り組みと主な成果を申し上げますと一期目の平成25年には、役場機能を埼玉県加須市から福島県いわき市に移すとともに、国からの避難指示区域の見直しについては、町の意見を申し上げ、見直しを受け入れることとしました。次いで平成26年を「復興元年」と位置付けし、双葉町立幼稚園、小、中学校の再開、さらに双葉町復興まちづくり計画長期ビジョンの策定、コミュニティ情報紙「ふたばのわ」の発行、タブレット端末の各世帯への配付と情報発信、復興公営住宅と双葉町町外拠点の早期整備、中間貯蔵施設整備への苦渋の決断、震災記録誌の発行など、様々な課題がある中、1つ1つ着実に取り組みを進めてまいりました。

 震災から8年目を迎えた二期目の平成30年を、「復興具現化元年」と位置づけ、双葉町復興まちづくり計画(第二次)を踏まえた次の3つの基本目標のもと、各種事業の具現化に鋭意取り組んでまいりました。

基本目標の1つ目「町の再興」として

(1)双葉町の新たな「働く拠点」として中野地区復興産業拠点の一部供用を開始し、22社との立地協定締結と双葉町産業交流センターの開所。町内での事業再開に向けた立地支援。

(2)常磐自動車道「常磐双葉インターチェンジ」の供用開始。

(3)復興シンボル軸の国道6号東側の供用開始。

(4)双葉町の避難指示解除準備区域及びJR双葉駅周辺の一部区域の避難指示の解除合意。

(5)JR常磐線の全線開通に伴うJR双葉駅の橋上化や東西自由通路の供用開始。

(6)「住む拠点」として駅西地区の用地取得と造成工事に着手。

(7)双葉町の基幹産業である農業の再興を図るための地域営農再開ビジョンの策定と地区農地保全管理組合の設立による除染後農地の保全管理作業の実施。

基本目標の2つ目「生活再建」として

(1)いわき市勿来酒井地区の復興公営住宅への入居開始。

(2)特別養護老人ホーム「せんだん」並びにグループホーム「せんだんの家」の開所。

基本目標の3つ目「町民のきずな・結びつき」として

(1)動画版広報ふたばダイジェストの制作、配信

(2)オリンピックデーフェスタ・ふたばスポーツフェスティバルの開催

など復興に向けて大きく動きだした二期目となりました。

 以上申し上げました成果は、もとより私や行政だけで達成し得たものではありません。国、県の支援をはじめ、議会、人的支援をいただいている自治体、町民の皆さん、関係団体の皆さんがそれぞれの立場で、双葉町の復興について共に考え、行動していただいた賜物にほかなりません。改めて皆さんに感謝を申し上げます。

本日が三期目の初議会となります。

 令和4年春頃の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除、町民の帰還、居住開始を控え、双葉町は真のスタートラインに立ちます。これからの4年間がまさに双葉町の未来を築いていくための正念場となるため、町民の皆さんの生活支援をはじめ、新たなまちづくりに引き続き全力を注ぎ、町の復興にかかる取り組みをさらに加速してまいります。

具体的な施策としては

町民の皆さんの生活支援策として、

(1)避難先自治体との連携を図り、引き続き保健、医療、介護、福祉サービスを確保。

(2)JR双葉駅周辺に診療所を整備し、安心して居住できる環境の実現。

(3)町内でのご自宅への帰還、居住を検討しやすいようハウスクリーニングに関する助成の制度の検討。

(4)国、県とも連携し、町内事業者の事業再開へ向けた支援。

町の未来を築くための施策として

(1)町内の全域避難指示解除の実現に向け、特定復興再生拠点区域の一括認定。

(2)JR双葉駅東側において令和4年春頃の特定復興再生拠点区域内の避難指示解除に合わせ、役場機能の全面再開。

(3)JR双葉駅西側において地方創生のモデルとなるような、自然環境を活かし、多様な人々が共に未来を切り拓き、自由にチャレンジできるまちづくりの実現。

(4)景観確保や防災のため、JR双葉駅西側の無電柱化への取り組み。

(5)歩行者が中心のまちづくり。公共交通を確保し、出歩きやすいまちづくり。

(6)県と連携して東日本大震災・原子力災害伝承館や復興祈念公園を上手に活用し、大震災と原発事故の記録を伝えるとともに、双葉町への訪問客を増やし、交流人口の拡大。

(7)多様な方に双葉町の復興に関心を持ってもらうための取り組みと移住・定住の促進。

 そして、令和3年度は、双葉町復興まちづくり計画(第二次)の最終年度であり、令和4年春頃の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除、居住開始に向けた準備期間であることから、帰還できる環境の整備に全力で取り組んでまいります。

 また、帰還後の双葉町のあるべき姿を具現化するため、先に述べました「町民の皆さんの生活支援策」並びに「双葉町の未来を築く施策」を柱とした双葉町復興まちづくり計画(第三次)を策定してまいります。

 ここで令和3年度に、重点的に取り組む施策について申し上げます。

 まず、優先してやらなければならないことは、町民の皆さんの命と生活を守るための新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策であります。全国における感染者が減少傾向にあるものの、減少幅の鈍化やウイルスの変異株も感染が確認されていることから、予断を許さない状況にあります。予防対策としてのワクチン接種でありますが、先月下旬には医療従事者への先行接種が始まり、4月12日からは65歳以上の高齢者、基礎疾患のある方などを優先に、次いで一般の方への接種の予定が示されております。全町避難が続いている中で双葉町については、避難先の自治体に接種を要請するとともに、随時、町民の皆さんにきめ細やかな情報を提供し、速やかにワクチン接種ができるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 次にこれまで年度ごとに交付しておりました生活サポート補助金についてでありますが、多くの町民の皆さんから、一括交付できないかなどの声が寄せられておりました。このたび、財源の見通しがついたことから、令和3年度から7年度までの5年分を新・生活サポート交付金事業として一括交付することといたしました。

 令和年春頃の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除、町民の皆さんの帰還・居住開始を見据えた主な事業についてでありますが、避難指示解除要件を満たしているかどうか、引き続き放射線量等検証委員会に放射線量等の低減状況について専門的な検証並びに提言を求めてまいります。

 また、町内での役場機能の本格的な再開に向け、駅東側に仮設庁舎を整備してまいります。また駅東地区については、町民主体でまちづくりを進めるため、「(仮称)駅東のまちづくり協議会」を設立し、運営の支援を行ってまいります。

 町民の帰還や居住開始に合わせた防犯・防災対策については、防犯灯をLEDに交換するとともに、24時間体制の町内巡回パトロールに加え、特定復興再生拠点区域内の家屋等の戸別巡回を実施するなど防犯に特化した対策の強化を講じてまいります。さらに町内の防火に対応するための活動拠点として双葉町消防団の基幹分団となる第一分団屯所を新たに整備してまいります。

 一方、特定復興再生拠点区域及び帰還困難区域の住宅敷地の管理が行き届かず草木が繁茂していることから、環境美化支援の一環として、住居の使用者または所有者の方に対し、除草剤を配布してまいります。

 「住む拠点」として、双葉駅西地区復興拠点内に整備を進めている災害公営住宅、再生賃貸住宅の供用開始を見据え、令和3年度中頃に入居者募集を開始いたします。また双葉駅西地区内にIRU光ファイバーケーブルを敷設し帰還・移住される住民の通信環境向上に努めてまいります。さらに、当拠点内2期分の用地を取得し、計画的に整備を進めてまいります。

 そして、住民の帰還に伴い欠かすことのできない施設として、医療施設があります。町内に医療施設を整備するため、令和3年度予算として、医療施設建設に伴う設計業務を実施し、現在構想している素案を基に、必要な医療設備の内容を具体化してまいります。

 納税義務者の税負担の軽減を図るため「令和3年度東日本大震災等による被災者に対する町税の減免に関する条例」を制定するため議案として提出させていただきます。なお、令和3年度は、令和2年度の内容に沿う方向で整備をしてまいります。

 農業関係でありますが、除染後農地の保全管理により営農環境を整え、円滑な営農再開へとつなげていくため、平成30年度より農地保全管理組合の体制づくりを進めてまいりました。

 その結果、令和2年度に上羽鳥地区農地保全管理実行組合、下羽鳥・長塚地区、中田地区、下長塚地区、三字地区農地保全管理組合が設立され、令和3年度からは6地区の保全管理組合で農地の草刈や耕起等の作業が行われます。

 令和4年春頃の避難指示解除後、帰還された方が野菜作り等に取り組める環境整備の一環として、特定復興再生拠点区域での園芸品目の出荷制限等解除に向けた試験栽培の取り組みを令和3年度以降も進めてまいります。また、将来的な水稲の作付再開に向けて、水稲栽培の安全性や生育を確認するため、下羽鳥地区で水稲の試験栽培を実施いたします。

 長期間の避難指示等による、農地及び農業用施設の機能を回復させるために、上羽鳥地区で農業基盤整備促進事業を実施し、営農が再開できる環境を構築してまいります。

 営農再開に向けて、ビジョンの具現化に向けて地権者の農業再開に関する気運醸成と合意形成を図るため、地区座談会や個別訪問、農地利用に関するアンケートの再実施を行います。併せて、外部からの担い手確保に向けて、新規参入・就農促進等の調査を行ってまいります。

 イノシシ等に関しては、双葉町有害対象狩猟鳥獣捕獲隊を編成し、旧避難指示解除準備区域内の捕獲を行ってまいります。また、福島県ニホンザル管理計画(第3期計画)の対象区域に令和2年10月に追加されたことから、被害防止計画を作成するための調査を実施いたします。

 教育関係についてでありますが、平成26年度に開校した町立幼稚園、小・中学校は、令和3年度は幼稚園5名、小学校30名、中学校6名の41名でのスタートを予定しております。

 また令和3年度には、町立学校に勤務するALTの出身地であるイギリスの自治体との友好都市締結を推進し、双葉町生徒海外派遣事業につなげるため、事前調査を実施してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から延期としておりました令和3年双葉町成人式については、感染防止対策を徹底した上で、5月1日に産業交流センターにおいて挙行いたします。

 令和2年度において、双葉町内における既存教育関係施設の在り方の適正化を図るために、基本的な事項について検討する「双葉町学校等施設在り方検討委員会」を立ち上げ、2月5日には「双葉町内学校等施設の在り方について」答申を頂きました。その答申内容を参照し、2月12日の「双葉町総合教育会議」において、各施設の利用可否を含め、方向性を確認いたしました。今後は「町づくり推進機関」において具体的な検討、調整を進め決定してまいります。

 公共下水道事業についてでありますが、特定復興再生拠点区域内のインフラ整備を進めるため、引き続き特定復興拠点区域内の下水管渠等の災害復旧工事に取り組んでまいります。

 以上、町長就任以来の取り組みとその成果、並びに令和3年度の町政に臨む私の所信と施策の一端を述べましたが、町政運営にあたりましては、引き続き議会、町民の皆さんとの対話を重視するとともに、令和4年春頃の特定復興再生拠点区域全域の避難指示解除と居住開始、並びに双葉町復興まちづくり計画(第三次)の策定に向けて、職員一同全力で取り組んでまいりますので、議員各位並びに町民の皆さんの一層のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 双葉町長 伊澤 史朗